圧巻の意味や使い方について紹介します。何かを褒める時に使う【圧巻】ですが、実は使い方を間違っている方が大勢いるんです。間違えを引き起こす類語【圧倒】と【壮観】、この2つの言葉との違いも解説します。圧巻の景色は、本当に正しい日本語なのでしょうか?
圧巻の意味、調べてみたら・・・自分の無知を知りました(^_^;)
時折聞く言葉に、こんなものはありませんか?
まさに圧巻のラストシーン!
いや~、今日も圧巻の舞台だったね(^^)
この言葉、意味を正しく理解しているでしょうか?
年配の方から投げかけられることの多い【圧巻】ですが、言われたらなんとなく
「そうですね!」
と返事している方も多いハズ(笑)
今回は、このよく聞くのに意外と知らない奇妙な言葉・圧巻の意味や使い方について見ていきたいと思います。
圧巻の意味と由来
それでは早速紹介し知恵きます。
今回は、圧巻の意味と由来についてです。
短く使いやすい言葉ではありますが・・・ちょっと待って!
その言葉、間違えて使っているかも知れません(・_・;)
本来の意味としては
一冊の本や書物・一つの物事の中において最も優れた部分
を指す言葉なんです。
「この小説のトリック、圧巻の一言だったね!」
などが正しい使い方になります。
元々は書物のみに使われていた言葉です。
しかし、段々とその対象が広がっていき、映画や舞台等色々な物事の最も優れた場面を称賛する際にも用いられるようになったのです。
その由来は、古代中国にあります。
昔、中国の試験において、答案の最も優れた部分を上に置く習慣がありました。
これにより、答案をチェックする人が、最初にその人の最も優れた部分を確認することが可能となり、試験を受けた人の力量が一目瞭然となるからです。
流石中国4000年の歴史、素晴らしい知恵です(^^)
「いや、それがなんで圧巻とつながるの!?」
と思う方、安心して下さい。
ここからいよいよ解説です( ̄ー ̄)
圧巻の【巻】ですが、こちらは上で説明した試験の答案を指しています。
一番上に一番優れた部分を置き、その下の答案をおしつぶす(圧しつぶす)形になった所から、
一番優れたものが、他を圧しやる
↓
圧倒
へと変化したのです。
こうして由来を見てみると、案外単純なものって多いですよね(笑)
ここまで読んできて、ちょっと違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか?
あなたは、どうですか?
実はその違和感の正体こそ、多くの方が陥っている圧巻の意味の勘違い・間違いだったのです!!
意味を間違っている人続出!?
圧巻を、このような意味で使ってないでしょうか?
すごいな!
圧倒的だね!
私は、まさにこれでした(・_・;)
「あの夜景、圧巻だね♪」
一見なんの問題もなさそうなこちらの一言、ですが実際には少し使用方法が間違っているんです…
圧巻は、物事の中の最も優れた場所に対して使う言葉です。
ですから、凄いと感じたもの全てに使うと、本来の意味で考えるとちょっとずれた意味になってしまいます。
【物事の中で】という視点、結構抜け落ちやすいんですよね(^_^;)
例えば、
彼女の美貌は、他の女性に比べても圧巻だ!
これは、他の女性と比べているのであって、一つの物事の中の最も優れた意味を持つ圧巻は、本来当てはまりません。
一方でもしこれが
彼女の美貌は、クラスの中でも圧巻だ!
ならどうでしょうか?
こちらは、クラスの中というグループで、最も優れているのが彼女の美貌という意味になりますので、正しい使い方となります。
何かの物事・グループの中で一番優れている=圧巻
例【クラス・本・舞台・同期】
対象を限定しない優れている様子・人物=圧倒的・凄い
例【男性の中で・景色等】
このように自分の中で区分けしておくと、わかりやすいかも知れませんね(^^)
ただし、これはあくまで辞書通りの意味として捉えたならです。
私がそうであったように(あるいはあなたも?)、圧巻=凄いと考えている人は大勢いますし、会話だってそれで問題なく行えています。
もちろん、あなたが今日知った知識を元に他の言葉、例えば「圧倒」などで補うなら、それは素晴らしいことです。
ですが、相手の圧巻の使い方を訂正するのは・・・ちょっと違うのかも知れません(^_^;)
昔からの意味は存在しても、正しい意味は時代によって変化してくる。
良くも悪くも、現代はそういう時代なのです(^^)
圧倒との違い
圧巻と圧倒、どちらもよく使われている言葉ですが、違いはどこにあるのでしょうか?
圧倒の意味を辞書にて調べてみた所、
段違いの力で他をしのぐ
優れた力で周りをおさえつける
といった意味がありました。
・・・あれ?圧巻とよく似ていますね(笑)
もちろん、意味は違うのでご安心下さい。
先程、圧巻は一つの物事の中で最も優れた点を指す言葉と述べました。
先程の例で言えば、クラスです。
一方、圧倒の場合は逆に全体的に見て優れている時に使う言葉なのです。
さっきの例でいうと、
彼女の美貌は、他の女性に比べても圧倒的だ
となります。
- 比べる対象が限定されていない、広い範囲で考えるときに用いるのが圧倒
- 対象を限定して、その中で1番いいものを指すのが圧巻
と覚えておけば大丈夫です!
・・・うーん、まだちょっと難しい(・_・;)
友人に見てもらいましたが、
「いや、分からん」
とのことです(笑)
というわけで、更に簡単にしてみました♪
クラスで1番かわいい=圧巻
他の女性と比べても、段違いでカワイイ=圧倒
これならいかがでしょうか?
今回の例で言えば、【クラス】という枠の中で競うか(=圧巻)、枠の外で競うか(圧倒)で変わってくるのです。
意味は全く一緒でも、比べる対象が違う。
これが圧巻と圧倒の違いになります(^^)
圧巻の景色って?壮観との違いを解説
「圧巻の景色だ!」
美しい景色にこの言葉を使ったことはないでしょうか?
・・・私はあります(^_^;)
ですがこれ、実は間違った使い方なんです!!
もう一つ、似たような言葉で【壮観】という言葉があります。
この壮観と圧巻の違いを知れば、何が間違いかが分かってくるんです。
壮観の意味ですが、こちらは
大規模で、素晴らしい眺め
を指す言葉です。
- 圧巻=一つの物事の中で最も優れている点
- 壮観=大規模で壮大な景色
明らかに違いますね(^^)
もうお分かりではないでしょうか?
・・・そうです、圧巻の景色なんて言葉は本来ありません。
正解は
壮観な景色
なのです!
違い以前に、美しい景色に対しては圧巻も圧倒も使いません。
景色を褒める=壮観
と覚えておけば間違えなしです!
使い方を例文で紹介!
さて、ここまで圧巻・圧倒・壮観、それぞれの意味の違いについて見てきました。
最後に、今回の主題である圧巻の使い方を、例文にて見ていきたいと思います!
意味が似た言葉の多い圧巻です。
日常生活において、どういった風に使うのが正しいのか・・・参考にしていただければ幸いです(^^)
この旅行で色々なラーメン食べ歩いたけど、この店の味は圧巻の美味しさだな!
【食べ歩いた他の店】という比べる対象があるので、圧巻の使用が正しいです。
「どっちかと言えば、こっちのほうが美味しいかな?」
といった場合には、圧巻は使いません。
比較する他の対象と比べて、群を抜いてレベルが高い時に用いる言葉が【圧巻】なのです。
今日の千秋楽公演、今までのどの公演と比べても圧巻の縁起だったな!
こちらも、他の公演と比べて今日が圧倒的に良かったので、【圧巻】を用いての表現が正しいです。
比較対象の有無で、圧巻と圧倒を使い分けてくださいね(^^)
今回のヨーロッパ旅行であちこち見たけど、この雪景色は圧巻の美しさだ
先程、景色=壮観と言いましたが、それはあくまで比べる対象がないときです。
今回は、ヨーロッパ旅行で見てきた景色の中で一番美しいのが雪景色だったという文章です。
つまり比較対象があるのです。
この場合は、圧巻を用いても正しい使用方法と言えます。
ちなみに壮観を用いるなら、単純に
この雪景色、壮観だな!
で大丈夫です。
圧巻と圧倒・壮観の違いに要注意!
今回は、圧巻と圧倒・壮観の意味や使い方や、その違いについて見ていきました。
違いを見極めるポイントは、比較対象です。
- 比較対象が枠組み(クラス等)の中=圧巻
- 全体で見た中で一際優れたもの=圧倒
- 大規模・壮大な景色=壮観
です。
この3つの違いをしっかり覚えておけば、もう言葉の使い間違えの心配はありません!
言葉はすべての基本で、最も大事なポイントでもあります。
会社や学校で、
「彼(彼女)は、社員(学校)の中でも圧巻の語彙力だ」
だと評されるくらい、しっかり学んでみてくださいね(^^)
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