危惧の意味や使い方、そして懸念・憂慮との違いについて詳しく解説していきます。危険なことに対し使う危惧ですが、懸念・憂慮も似たような意味のはず…さて、この3つの言葉、一体どのように使い分けるべきか、詳しく見ていきます。
危惧って、懸念や憂慮と、何が違うのでしょうか?
時折目にする「危惧」という言葉。
あなたは読めますか?
私は最近まで読めませんでした(笑)
ただ、この言葉・・・読めたとしても、意味の使い分けが難しい言葉なんです。
今回は、似たような意味を持つ危惧・懸念・憂慮との違いについて見ていきます。
危惧の意味とは
それでは早速紹介していきます。
まずが、「危惧」という言葉から詳しく見ていきますね(^^)
危惧の読み方は
「きぐ」
ですね。
意味は
成り行きを心配し、おそれること
(明鏡国語辞典参照)
です。
たとえば、絶滅危惧種なんて聞いたことありませんか?
これは、絶滅を危惧されている動植物の種類。
つまり絶滅するようなおそれがある種、のことを指しています。
- 具体的に恐れているシチュエーションがあり、その通りになってしまわないかどうか心配している。
- 最悪のパターンを連想して、そのとおりになってしまうのではないかと不安になる。
そんなときに用いる言葉となっています。
なんだか、少し物騒な言葉ですね(^_^;)
危惧・懸念・憂慮の違い
似たような言葉はたくさんあり、その使い分けが難しかったりします。
特に、
- 危惧
- 懸念
- 憂慮
は、どれも同じような意味に思えてしまいますよね…(ーー;)
ただ、当然ですが違う言葉である以上、その意味も微妙に違っているものです。
さてこの3つの言葉、違いはどこにあると思いますか?
まずは、懸念・憂慮、それぞれの意味から見ていきます!
懸念の意味
まず懸念の意味ですが、
先行きが気にかかって不安になること
(明鏡国語辞典参照)
です(^^)
懸念の【懸】はひっかける・託すなどの意味を持つ単語です。
つまり、
念じる=心にひっかかる何かが気になってしまっている状態
を指しています。
先のことが気になる、という点で非常に危惧と似ていますね。
ただ、具体的に心配する対象のある危惧に対して、懸念はもう少し心配の対象が漠然としています。
たとえば、
- 事の成り行きを懸念する
などという使われ方が一般的です。
こうした具体的な対象物のない、漠然とした不安にかられる場合に、懸念をつかいます。
憂慮の意味
続いてもう一つ、危惧と似ている間違えやすい言葉【憂慮】の説明です!
憂慮の意味は
悪い結果になるのではないかと心配すること
(明鏡国語辞典参照)
です。
【憂】という漢字には、不安に思い心を痛めるという意味があります。
また【慮】は「おもんぱかる」と読み、思いを巡らすという意味を持っています。
この2つがあわさった言葉である憂慮は、
いろいろと思いを巡らせて、不安に心を痛めている状態
ということになりますね。
主な使われ方としては、実際に問題がおこっていて、それに対してかなり強い不安を抱いているといった状況で用いられます。
危惧と懸念との使い分け方
危惧と、間違いやすい言葉である、懸念・憂慮の意味をそれぞれ紹介してきました。
ここからは、危惧・懸念・憂慮…それぞれの使い分け方をみていきましょう(^∇^)
まず、危惧ですが、こちらは危険の危がつくことからも分かるように、
【危険なことをするのではないか・起こるのではないかと怖くなり、何も手につかなくなる】
という、危険なことにそのものに対して使う言葉です。
- 台風の直撃を危惧している
- このマラソン大会は、暑さによる熱中症が危惧されている
- 今やうなぎは乱獲により、絶滅が危惧されている
このように、直接的な危機に対しては、危惧を用いることが多いです。
つまり、危惧は、
自分のなかでのよくない想像が、現実になってしまうことをおそれている状態
ですね(^∇^)
対する懸念は、
先行きが気にかかって不安になること
という意味でした。
危惧との違いは、その対象の違いです。
危惧は、台風や大雨などはっきりとした危険に対して感じるものです。
台風がこの島を直撃するのではないかと危惧している・・・
などのように、明確な危険対象についての不安を述べています。
一方、懸念はと言えば、その対象がかなり漠然としてます。
危険・危機のように具体的な対象に対しての言葉ではありません。
では何かと言うと、
抽象的な不安に対して
です。
- 学校へのクーラー導入は、子供の体力低下が懸念される
- 甲子園に向けて準備は万端だ!ただ、懸念材料は、この暑さだな・・・
などのように、ある程度ふわっとした対象に対する心配ですね。
ちなみに、懸念は
ある出来事が起こることで、より不安を駆り立てるなにかが起こること
=未来への不安
を意図する場合が多いです。
一方、危惧は危険そのものに対する心配です。
- 台風の直撃が危惧される=直接被害
- 台風の影響による農作物の不作が懸念される=台風による未来の不安
といった具合に、
- 現在への不安
- 未来への不安
と言った違いも見えますね(^^)
危惧と憂慮の使い分け
つづいて、危惧と憂慮の使い分けのポイント解説です(^^)
危惧は、【自分のなかでのよくない想像が現実になってしまうことをおそれている状態】 でした。
一方で憂慮は、
悪い結果になるのではないかと心配すること
となっています。
憂慮の憂は憂いている状態を示す言葉でした。
また、憂いているとは
心配事や不安な思い
を指す言葉であることから、憂慮=心配するあまり何も手につかなくなっている状態です。
ここで大事なのは、憂慮している本人が不安になり心配しているだけということです。
実際には、その憂慮の元となっている相手には特に危険などは迫っていない状態となっています。
心配している物事が、実際には近づいていない…この点が危惧との大きな違いですね(^^)
- 子どもたちが、いつか私と口を利かなくなるのではないかと憂慮している
- 農家の父が落ち込んでいる。ここ数年の天候から、夏の猛暑を憂慮しているようだ…
などですね。
子供が口を利かなくなる
農家にとっての夏の猛暑
どちらも恐ろしいものではありますが、まだ起きたことではありませんし、今後起こるかどうかもわからないものです。
実際あるかわからない、不明瞭な未来に対する不安。
これこそが、憂慮という言葉の本質です。
今そこにある危機=危惧
来るかもしれない危機=憂慮
という、確定・不確定な未来に対する不安や心配をそれぞれ指した言葉となっています。
危惧の使い方を例文で解説!
最後に、例文をつかって危惧の使い方を解説していきますね(^○^)
このまま少子化が進行した場合、日本の経済状態の停滞、衰退が危惧されている
これは、少子化という具体的な危機により、さらなる危機である日本経済の停滞や衰退を不安視している例文になります。
少子化=労働人口の低下に繋がります。
子供が減ってしまうということは、それだけ活気がなくなることにも繋がりますし、文化の成熟=発展の終了も意味しています。
超少子高齢化としてモデルとなっている日本ではありますが、そこから再び子供が増えていく社会を築いていくことも、高齢化先進国である日本の責任なのかもしれませんね。
地球温暖化の影響による異常気象が年々増えており、寒冷地の動植物への影響が危惧されている。
地球温暖化は、今や地球上全てに悪影響を与えています。
南極の氷が溶ける
小さな国が水没
動物絶滅
植物の生態系の異常
ありとあらゆる恐ろしい未来が危惧されています。
私達は、この危機に対して何が出来るのか、もっと考えて行動すべきなのかもしれません。
容体の悪化が危惧されたので、その患者は集中治療室へ移動することになった。
病院や施設での判断は、一刻を争います。
私達もそうですが、高齢者の方は特にちょっとした体調不良から、命にかかわるような危険な状態に発展することも…
危惧が杞憂であったなら万々歳です。
高齢者の方と関わる私達は、むしろ心配し過ぎくらいでちょうどいいのかもしれません(^^)
危惧・懸念・憂慮を使いこなせ!
今回は、危惧の意味や使い方と、その類語である懸念・憂慮との違いについて説明しました。
あまり意識して使い分けしない言葉ではありますが、実は明確に意味の違いがあることは分かっていただけたかなと思います。
- 危惧=具体的な危機
- 懸念=未来への不安
- 憂慮=起こるかもしれない危機への不安
と、それぞれ意味合いは似ていても、使うタイミングやシチュエーションは変わってきます。
今自分がどの言葉を使うべきか…
しっかりと違いを意識して、使いこなしてもらえたらなと思います(^^)
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