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なくなってしまった交流
昔は、高齢者と子供が接するのは当たり前の社会でした。
悪いことをした子供を地域の高齢者が叱りつける。
また、昔の話を自分の祖父母に語ってもらう、昔遊びを教えてもらうなどどこにでも高齢者と子供が触れ合う場所はありました。
しかし、少子高齢化や核家族や、さらには地域との結びつきの低下などが要因となり、世代間交流の機会が失われつつあるのです。
このような世代を超えた交流の損失は、高齢者にとっても子供にとっても、私たちが想像する以上に大きな損失なのです。
高齢者と子供の交流がもたらすメリット
高齢者と子供の交流には、数多くのメリットがあります。
しかし、当時の人々にとってはあまりに当たり前すぎて気づくことがなく、今の私たちの世代は、逆に交流がないことが普通のため、やはり気づくことがありません。
この世代を超えた交流が双方にもたらすメリットして、
- 礼儀礼節の作法を学ぶ
- 自分と地域や過去の歴史の生きた知識を知る
- 毎日に張りが生まれる
- 新しい役割ができる
等があげられます。
具体的にはどういったものがあるのか詳しく説明していきます
礼儀礼節
社会の荒波にもまれて成長してきた高齢者の方たちにとって、礼儀礼節はもはや意識せずとも身についている自然のふるまいのようなものではないでしょうか。
実際、職場で高齢者の方たちと会話をする際には、その丁寧な言葉遣い、語彙の豊富さには毎回舌を巻く思いです。
しかし、子供たちは当然ながらそういったものはまだ分かるわけもなく、また最近では残念ながら礼儀をしっかりと教えてもらえる機会が減少したようにも思えます。
礼儀礼節を身に着けた高齢者の方たちと一緒に過ごすことにより、自然にそういったものが身につくとともに、正しい言葉遣いなども学習することができます。
知識を学ぶ
地元にずっと昔から住んでいる高齢者の方は、その地域について知るための何よりもふさわしい教科書と言えます。
地域での何か大きな出来事があったり、戦争があった際に実際に生活してきた人の話です。
本や資料に書かれた文字だけの情報よりもはるかに内容は濃く、また実体験を踏まえて話してくれる分だけ真実味があります。
最近の子供たちは「歴史に興味を持てない」といったことが多くあるみたいです。
これはテストのための形だけの知識を覚えようとしているからにほかなりません。
そういった子供たちに、高齢者の方たちの歴史にまつわる話を一度聞かせてあげてください。
歴史や文化、地域の風土を知ることの本当の楽しみを、きっと理解してくれるはずです。
毎日の張り
高齢者の方たちにとって、毎日の平穏な日々は時として退屈な日常になってしまいがちです。
特に退職後の男性などがこれに当てはまります。
そして、代わり映えしない毎日とそれに飽きてしまうことは認知症の危険信号でもあります。
これを打開するためには、何らかの張りが必要なのです。
その張りを、子供たちとの交流を通して手に入れることができるのです。
子供たちは、自由奔放、好き勝手に動きます。
それが子供の仕事なわけですから、当然です。
高齢者の方たちにとって、こうした活力みなぎる子供たちとの交流は、それだけで毎日に張りを与えるカンフル剤となりえるのです。
高齢者の方たちは、人生を長く生きてきたために、ある意味では一つの自分の形を完成させてしまっています。
そんな時に、自分たちと正反対の、未完成で、ですが無限の可能性を秘めた子供たちと触れ合うことで、これまでの自分の価値観とは違う新しい何かを発見することになるのです。
新しい役割
- 【仕事を引退した】
- 【子供が独立した】
これらは高齢者の方たちにとって、家庭での大きな役割を全うしたという立派な勲章です。
ですが、同時に自身がこれまで担ってきた重大な役割を喪失してしまったことも意味します。
役割というのは、私たちが思っている以上に私たちの自我を形成する上で必要不可欠なものです。
施設で元気のない高齢者の方に、一つ役割を持ってもらっただけで劇的に状態がよくなり、活力を取り戻すというのはよくあることです。
それほどまでに、役割を持つことは私たちの活力を奪いもすれば、与えてくれることもあるものなのです。
ですので、子供たちとの交流を通して、高齢者の方には何か新しい役割を見つけてもらいたいのです。
それは、勉強や昔の遊び、先ほど挙げた礼儀礼節などを教える先生としてでもいいです。
逆に、子供たちにスマホやパソコンの使い方を学んでみることもいいかと思います。
今まで社会的に上の立場になる機会が多かった高齢者の方たちにとって、反対に教え子の役割を担うことは新鮮な物となるのは間違いないでしょう。
交流が自然にできる社会を
一番大事なのは、自然に交流が行える社会の実現です。
現代社会では、
【危ないから】
【塾の勉強のほうが大事】
等の理由で子供たちと地域の方との交流は本当に少なくなっています。
実際に、このような懸念や考え方が間違っているわけではないのですが、これだけを理由に勉強などから生えることのできな数多くの経験を喪失するのは双方にとってあまりにもったいないことです。
高齢者にとっても、子供たちにとっても、お互いとの交流は必ずプラスに働きます。
ですから、ますは安心して両者が交流出来るような社会づくりから行っていく必要があります。
気軽に交流できる場所の設置、学校の授業や施設を開放して積極的に両者の交流を促すなどの取り組みを今まで以上に積極的に行っていく必要があると思います。
近い将来、街中で子供たちと高齢者の方たちが当たり前に話をしている、一緒に遊んでいる…そんな社会が実現すればいいですね。