一朝一夕の意味や使い方などについて解説していきます!四字熟語の中でも少しマイナーなこの言葉、実は中国から来た言葉だったんです。正しい使い方や読み方など、例文を交えて詳しく解説していきます!

一朝一夕・・・この四字熟語、聞いたことがありますか?

「この料理の深みは一朝一夕では味わえないぞ!」

 

どこかの料理マンガにでてきそうな台詞ですね(笑)
この台詞の意味は

 

「この料理の味わい深さは、ちょっとやそっとの時間では作り出せない」

 

というものです。

 

つまり、この言葉を聞くだけで、単純に焼いただけの料理でなく、煮込み料理だったり、ずっと煮出したスープだったり・・・とこの料理に対する推理ができるわけです。

言葉って面白いですね。

では今回は、そんな推理に役だった四字熟語:一朝一夕について紹介します。

 

記事は下に続きます。

一朝一夕の意味や読み方とは

それでは早速紹介していきます。
今回は、一朝一夕の意味や読み方についてです。

まず読み方ですが、こちらは

 

「いっちょういっせき」

 

ですね(^^)

意味は

 

  • わずかの時間
  • ほんの少しの間
    (日本国語大辞典抜粋)

 

と、いうものになります。

 

  • 一朝=いっちょう
  • 一夕=いっせき

 

と、読むようことからも分かるように、一つの朝と一つの夕方・・・それぞれの時間があっという間で、とても短いという意味になります。

 

【一夕=いちゆう】と読み方を勘違いしてしまいそうですね(;・∀・)
実は、読み方は【一夕=いっせき】なのには理由があるのです。

 

その理由は、この四字熟語の由来にも深く関連しているんです!

一朝一夕の由来をチェック!

一朝一夕は、中国の書物である<易経>において、初めて使われたと言われています。

つまりこの書物こそが一朝一夕の由来というわけですね。

 

中国が発祥の言葉なので、【朝】・【夕】共に音読みで「チョウ」「セキ」と読むのですね(^^)

 

ちなみに、易経についてですが、【易】は易者さん=占い師、という職業で昔から使われている言葉です。

それについて書かれた書物が易経であり、つまり占いに関することが多くまとめられた書物ということになりますね。

古代中国は特に占いを重視していたため、【易経】のように、書物にも占いに関する様々な記述がしっかりと残されています。

ただ、占いのことばかりの記述ではなく、哲学書としての一面や、古くからの知識や教えについても書かれているので、あながち<占いの本>と一言では言い表せられない奥深い所となっております。

 

さて、肝心の一朝一夕は、初めて用いられたこの本の中では、一体どんなふうに使われているのでしょうか・・・

その原文を紹介します。

 

 

臣(シン)にしてこの君を弑(シイ)し、子にしてその父を弑(シイ)するは

一朝一夕の故(コト)にあらず。

 

 

という一文になります。
このままでは、ちょっと難しいですね・・・(;・∀・)

 

これをわかりやすく訳するとこうなります。

 

 

これを更にかみ砕いて説明すると、以下のようになります。

 

 

家来が主人の命を奪ったり、子供がその親の命を奪うような事が起こるのは

それまでに長い期間があったのに、様子に気づかない、またはその様を正さなかったからだ。

 

 

・・・なるほど、深いですね(ーー;)

 

最近は、突然子供が親を襲う事件が増えてきています。
しかし実際には、中国の昔の書簡にて、すでにその理由が書かれていたようです。

 

英語で表す一朝一夕

 

昔の中国からやってきた一朝一夕ですが、実は英語にもその表現方法が用いられているんです!

 

 

英語で表してしまうと、わかりやすいのですが、日本語ならではの言葉の深みのようなものは感じなくなってしまいますね。

 

それもそのはず。

海外、特に英語圏は論文を発表するのも【結果】から発言して、人々に疑問を持たせ初めて【過程】に興味を持たせる、という技法の発言法をします。

日本でもこの手法が使われることがありますが、好まれているのは起承転結。
過程から徐々に説明していき、最後に結論を発表する手法です。

このことからもわかるように、西洋と東洋では、言葉の使い方・表し方に色々な違いがあるわけです。

類語についても調べてみた

では一朝一夕の類語にはどんな言葉があるのでしょう。
こちらもしっかり調べてきました!

 

簡単には

 

【簡単には~いかない】という使い方で、一朝一夕にはいかないと同じ意味合いの言葉になります。

 

こう考えてみると初めて気づくのですが、一朝一夕は肯定文ではあまり使われない言葉なんですね。

 

「この美味しい料理を一朝一夕で作ったなんて凄いな!」

 

というような使い方はあまり見かけません。
この場合は、簡単に作ったのほうが、素直に驚いている感情を相手に伝えることが出来ますね(^^)

 

これと同じように否定的に使う類語がほかにもあります。

 

一筋縄では
意味:通常の方法では

 

こちらも【一筋縄ではいかない】と否定の文で使われる言葉です。

一筋縄にいかない、という言葉も

 

  • 簡単にはいかない
  • 一朝一夕にはいかない

 

と等しい意味合いで使われる言葉ですが、違いを一つ見つけました!
それは・・・

 

<一筋縄>という言葉が、方法や手段にかかる言葉

 

だということです。

 

「常識をわからない人に仕事を教えるのは、一筋縄ではいかない」

 

というふうに使われることもありますね。
この場合は、仕事を教えるという手段に【一筋縄ではいかない】がかかっているというわけです。

 

短時間に

 

【短時間にはできない】=【一朝一夕にはいかない】

 

この言葉は両方が時間を表していますし、一番近い言い回しかもしれませんね。

しかし、【短時間には~】と表現してしまうと、なんだかちょっとさびしい感じがしてしまうかも…(ーー;)

 

やはり日本が誇る文化の一つ、四字熟語の【一朝一夕】という言葉を使うと、文学的に聞こえて音も綺麗になりますね!

 

楽には

 

【楽にはいかない】も【一朝一夕にはいかない】に近いニュアンスですが、どちらかというと【一筋縄ではいかない】に近い感じがしますね。

 

対義語は意外なあの四字熟語

一朝一夕の対義語は、

 

ローマは一日にして成らず

 

があります。
・・・対義語のほうが有名ですね(笑)

 

ちなみに、英語ではこう表現します。

 

【Roma was not built in a day.】

 

 

とっても有名なことわざですね。

かつて繁栄を極めたローマ帝国は、その形を成すまでには約700年の歳月がかかっています。

そしてその700年の間には様々な苦戦や苦悩があり、短い歴史では決して作ることはできない、ということわざです。

 

実は、このことわざには奥深い裏側?の意味もあります。

 

表面的に聞けば、

 

「ああ、ローマ帝国が完成するには長い間の歴史があったんだな」

 

というシンプルなものになります。
しかし、その裏側を読み取れば

 

「良いもの、素晴らしいものを創り上げることは、美味しいところだけを要領よく掻い摘んで創り上げるのではない。

ローマのように長い歴史をかけてコツコツと創り上げるものなのだ。」

 

という意味が透けて見えるのです。

 

なんでも簡単にこなすのが良いように見える現代社会ですが、たまには時間を書けてコツコツ頑張るのもいいものです(^^)

 

一朝一夕の使い方を例文で解説!

最後に、一朝一夕の使い方を例文で解説していきます!

 

彼のボールの脚さばきは一朝一夕のものではない

 

サッカーをしたことがある方は分かるかと思いますが、そもそもドリブルすることすら難しいです(;・∀・)

プロサッカー選手のように、ボールを体の一部にするような技術を習得するには並大抵の努力ではないはず。

まさに、小さいころから毎日ボールと触れあってこそのプレイですね。

 

たまにTVで見るヒールキックパス(かかとで蹴って後ろにパスを出すプレイ)など本当に驚かされてしまいます。

後ろに目でも生えているんでしょうか?

 

あの経験から生み出される笑いの技術は、一朝一夕で培われたものではない

 

テレビや寄席で落語をよく観たり、聞いたりします。

しかしやはり勉強不足な新人さんの芸よりも、熟練されたベテランの落語家さんの方がこなれた世界観を見事に演出していますよね。

 

私が働く施設で暮らす高齢者の方たちも、前座の若手芸人の芸には一切反応せず、その後の笑点はずっと大笑いしています(笑)

 

あの美術館の気品あふれる出で立ちは、一朝一夕ではない歴史によるものだ

 

近代の美しい美術館もいいですが、昔ながらの歴史を感じさせられる美術館も趣が感じられて美しいものです。

その美しさは、中に飾られている美術品だけではなく、その建物の佇まいや庭から見える景色が出来上がるまでの【年月】も含めて美しいと表現できるのでしょう。

時間が過ぎ去り、年月が経ったからこその美しさってありますよね(^^)

 

一朝一夕では覚えられない!?

今回は四字熟語:一朝一夕の意味や使い方などについての紹介でした。

 

一朝一夕という言葉ではありますが、実際は長い年月をかけて、少しずつ日本に入り私たちの生活の中になじんでいったのでしょうね(^^)

 

注目すべきは、その用法と使い方です。

用法は、否定形で使われることがほとんどという事。

使い方に共通して言えるのは【極めた物事、【匠の技術】などの威厳ある物事に対して使われる言葉であるという事です。

 

一朝一夕で覚えられる使い方ではないかもしれませんが、使い続けていくことで、徐々にこの言葉もアナタのものへと変わっていきます。

 

ローマは一日にして成らずです!

普段から意識して一朝一夕を用いていき、この四字熟語にも慣れていってくださいね(*´∀`)

 

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