匂いと臭い、そして香り。3つの『におい』を表現するそれぞれの言葉の意味と使い分けについて紹介していきます。良いにおいは「匂い」?それとも「臭い」でしょうか?
匂いと臭い、そして香り。
この3つの言葉の違いはいったい何なのでしょうか。
においは、私たちが生きていくうえで毎日嗅いでいるものです。
食べ物のにおいや植物のにおい、おならのにおい・・・は嗅ぎたくないですね(^^;)
これらの「におい」を表現する言葉は3つあります。
- 匂い
- 臭い
- 香り
です。
さて、この3つの言葉、違いはいったい何なのでしょうか。
匂い・臭い・香りの違いは?
それでは、紹介していきます。
今回は『匂い』『臭い』『香り』の意味の違いや使い分け方についてです。
- 「花の香りがする」
- 「カレーの良い匂いが!」
- 「生ごみのいや~な臭いだ…」
と言うように、あなたも無意識のうちに、3つの言葉を使い分けているのではないでしょうか。
ですが、それがどういった基準でかと聞かれると・・・答えに詰まってしまいますよね(^^;)
3つも似たような言葉があると、どれを使っていいのか考えるのも難しいというものです。
使い分けを考えるには、まずそれぞれの言葉の意味を知っていく必要があります。
まずは、
- 匂い
- 臭い
- 香り
それぞれの言葉の意味について、一つずつ解説していきます。
匂いの意味
まずは、匂いの意味についてです。
「匂」は
- 紫匂
- 紅梅匂
等の熟語もありますが、基本的には「匂い」と言う言葉で使われることの多い漢字ですよね。
文字通り、「におい」についての意味を表す言葉なのですが、実はある一定の「におい」に対して使われることがほとんどの言葉というのは、あまり知られていません。
そのある一定のにおいとは
- 良いにおい
- 好きなにおい
に対してです。
つまり、俗にいう【良いにおい】に対してこの漢字を用いることが、本来なら正しい使い方なのです。
あなたがこの漢字を用いた時を思い出してみてください。
こんな文章を書く時ではなかったですか?
- 「桜の良い匂いがする」
- 「さんまをあぶったいい匂いが漂ってきた」
- 「花の匂いで心が安らぐ」
どれもいいにおい・気持ちの良いかおりの時に用いています。
あなたも無意識のうちに、そういった時に用いていたのではないでしょうか。
あなたも私も、「匂い」と言う漢字が良い意味で使われている文章を子供の時からずっと読んできました。
その結果、使い分け方までは分からなくても、無意識のうちに
「これはいい意味の言葉だ」
と考え、そして自分でもそのように書くようになっていったのでしょうね。
ちなみに、この匂い本来の意味は
- 漂い出て嗅覚を刺激する気
- 鮮やかに映えて見える色合い
- 人の内部から発散してくる生き生きとした美しさ
といったものがありました。
・・・本来の意味、かなり難しいですね(笑)
これからわかるのは、「匂い」は
- 嗅覚
- 視覚
- 感覚
といった、人間の五感に直接訴えかけてくるような美しさ全般を指す意味も持っているという事です。
『良いにおい』だけでなく、人間が見たり感じたりできる『良いもの』全てを指す言葉、それが「匂い」なのです(^^)
臭いの意味
次は、「臭い」の意味についてです。
読み方は同じ「におい」ですが、言葉の意味は全く異なります。
具体的には
- くさいかおり
- 臭気
- そのものが持つ雰囲気
等の意味を持っている言葉です。
1.2は分かりますが、3は少しわかりにくいですね(^^;)
これは
- 庶民的な臭いのするお店
- 犯罪の臭いがする組み合わせ
等の言葉で使われています。
とは言え、これはあくまで例外です。
基本的には、こちらも嗅覚に訴えかけてくる刺激に対して用いられる言葉です。
ただし、その意味は全くの正反対です。
- 「生ごみの嫌な臭い」
- 「鍋から焦げたような臭いがする」
- 「近所を流れるどぶ川の臭いが辛い・・・」
このように、あまりの好ましくない、どちらかと言うと嫌な臭いに対して使う言葉が「臭い」です。
まあ
【臭い(くさい)】
と言う言葉もあるので、この漢字があまりいい意味でないのは多くの方が何となくわかっていたのではないでしょうか。
ちなみに、こちらの記事で紹介している食べ物は、二つとも臭いにおいの食べ物です(笑)
香りの意味
最後は、香りの意味についてです。
こちらは、一体どういった意味を持つ言葉なのでしょうか。
実はこの香り、意味は匂いとほとんど一緒なんです。
【におい】の中でも特に好ましいものを指すときに用いるのが、この香りなのです。
辞書にて意味を引いてみると
- 良いにおい
- つややかな美しさ
- なんとなく感じられる良い感じ
と言う意味が書かれてあります。
どれも肯定的な、良いニュアンスで用いられている言葉ですよね。
恐らく、あなたも香りと言う言葉を使う時に悪い意味で用いたことはないはず。
まあ確かに、
「生ごみの嫌な香りがする」
なんて、言いませんもんね(笑)
その他にも、高級感のあるにおい・高貴な雰囲気の漂う臭いに対しても「香り」を用いることが多いようです。
使い分け方と違いについて
さて、それではいよいよ!!
あなたも一番気になっている、
- 『匂い』
- 『臭い』
- 『香り』
この3つの言葉の使い分け方と、その違いについて解説していきます。
基本的に、
- 良いイメージのにおいに対しては『匂い』あるいは『香り』
- お世辞にも良いにおいとは言えない悪臭や、それに類するものの場合には『臭い』
をそれぞれ用いて表現します。
分かりやすく言えば、嫌な臭いにだけ『臭い』を使っていれば良いというわけです(^^)
さらに言えば、
- 香水の香りがする
- 高級感漂うバラの香り
のように、上品な臭い、高級な臭いを表現したいときには匂いよりも「香り」を用いたほうがより正しい表現と言えます。
ただし、絶対にこれでなくてはならない!!と言うわけではありません。
実際、広辞苑において「匂い」は
『良いにおい』
ではなく、
『空気中を漂ってきて、嗅覚を刺激するもの』
という位置づけがなされています。
広い意味でいえば、嫌な臭いも高級な臭いも、全て「匂い」一つで表現できるのです。
・・・うーん、日本語の難しさを体現したような言葉ですね(^^;)
私としては、最も間違えのない表現方法は、「におい」とひらがなで書いてしまう事なのかなと思います。
下手に漢字で書いてしまうと、相手に自分が思っている印象と別のイメージを与えてしまう恐れがあるからです。
とってもいいにおいである場合に限り、「香り」を用いて、あとは基本的にひらがなの「におい」で通す。
これが当サイトと、私が出したこの3つの言葉の使い分け方となります。
その他の類義語
さて、実は今回紹介した3つの言葉以外にも「におい」に関する類義語は多数存在しています。
正直多すぎて、どういった時にどの言葉を使えばいいのかわからなくなりますよね(笑)
- 香気
- 芳香
- 薫香
これらは全て良い匂い、それもとても上品で良い香りを表現するときに用います。
基本的に、「香」が付く漢字は全ていい意味の匂いを表していますので、もし出てきたらプラスの意味に受け取って下さいね。
あなたのまわりの「におい」はどの言葉?
いかがだったでしょうか?
今回は、「匂い」と「臭い」、そして「香り」の意味の違いや使い分け方について一つずつ説明していきました。
最後にもう一度要点をまとめておきます。
- 匂いは基本的にいいにおいの場合
- 臭いは悪臭に対して用いる言葉
- 香りは上品なにおい、高級感のあるにおいに対して使う
- 使い分けに自信がなければひらがなの「におい」でもOK
これらが、今回の記事にて伝えたかったポイントとなります。
「臭い」の扱いがやや悪いですが、実際『悪臭』と言う言葉にも「臭」が用いられているように、いいイメージで使うことはまずないです。
ただし、
- にんにくの「におい」
- プールの中から塩素の「におい」がする
のように、一般的には良いにおいでない場合にも、必ず「臭い」を使うわけではありません。
というのも、にんにく好きの方にとってニンニク臭は良いにおいですし、プールにしても慣れている人からしたら悪臭でも何でもないからです。
ですので、もしあなたが良いイメージを相手に伝えたくて文章に悩んでいるのなら、
- におい
- 香り
のどちらかで表現することをお勧めします。
これなら、悪い意味にとられる心配はまずないからです。
使い分けがとっても難しい今回の3つの言葉ですが、だからこそ使いこなせればかっこいいというものです。
沢山文章を作り練習して、使いこなしてくださいね♪