今回は高齢者施設で大活躍の介護レクリエーション7種です。この記事で紹介するレクは、認知症の方も、麻痺などの身体機能に障害がある方も関係なくみんな楽しく行えるものです。レクでお困りの介護士の方、認知症の方へのレクネタが尽きた方、是非ご一読を!!
介護士の皆さん、レクリエーションって大変ですよね。
介護現場で利用者の方に提供するレクリエーションを考えるのは、想像以上に難しいものです。
認知症の方、麻痺のある方、など認知機能や身体機能の違う利用者の方たちのレベルに応じたレクを提供していく必要があるからです。
今回は、そんな介護士を悩ますお悩みを解消するため、介護現場で大活躍の介護レクリエーション5種を紹介していこうと思います。
介護レクリエーションは簡単かつ楽しく
介護レクリエーションを考えていくうえで、皆さんはどんなところに重点を置いているでしょうか?
- 準備の簡単さ
- 費用の安さ
- 脳トレ効果
- リハビリ機能
どれもとても大事なものです。
ですが、私の場合これらはあくまで大事なポイントとしつつも、一番とは考えていません。
介護現場でのレクリエーションにおいて、最も大事だと思うこと。
それは・・・
簡単かつ楽しいレクを提供する
ということです。
レクリエーションを提供する介護現場では、まず間違いなく利用者の方のレベルにはばらつきがあります。特に、
- 認知機能
- 身体機能
この2点は、利用者の方の年齢や持っている疾患などに応じて差がかなり開いてしまうことも良くある話です。
私は特養と比べると介護度の落ちる老健で働いているのですが、それでも利用者の方の介護度は1~5まで幅広く、出来ること・できないことの差は大きなものです。
そんな中で、認知機能の高い方、身体機能の優れた方に合わせたレクリエーション提供を行うことは禁物です。
何故なら、それをしてしまうと介護度の高い方、認知機能・身体機能の低下している方にとっては全く楽しめないレクリエーションとなってしまうからです・・・
かといって、簡単すぎるものにしてしまうと、今度は認知機能の高い方にとって退屈な時間になってしまいかねません。
大事なのは、簡単かつ楽しいということです。
どちらかだけでは介護レクリエーションとしては不十分です。
両方の要素を兼ね備えているからこそ、レクリエーションは全ての高齢者の方たちに喜んでもらえるようになるのです。
介護レクリエーション7種
上で書いたように、今回紹介するのは
- 簡単
- 楽しい
の二つの要素を盛り込んだレクリエーション7種です。
どれもシンプルなルール、最低限の準備で済むので準備も素早く行えます。
準備がスムーズなら、施設利用者の方たちもそれだけ長い時間レクリエーションを行うことが可能となります。
これから紹介するレクリエーションはすべて、認知症の方であっても十分に楽しめることを基本として考えています。
年々その数を増している認知症患者の数を考えると、これからの介護は、認知症の方にとってもより良い物を提供していくことを念頭に置く必要があります。
そして、それはもちろんレクリエーションもです。
今日紹介する介護レクリエーションが、少しでも多くの認知症の方、そしてもちろんその他すべての高齢者の方に喜んでもらえるものとなっていれば幸いです。
レクの前に・・・
レクの紹介に移る前に、まずは準備運動です。
当然ですが、いきなり体を動かすわけにはいきません。
人間の体は、動かさないとすぐに筋肉や筋が固くなってしまい、動きが悪くなります。
特に、高齢者の方たちはその特徴が顕著に見られます。
体が硬くなっているということは、それだけけがもしやすい状態にあるということ。
準備運動なしのレクリエーションは、高齢者の方たちのケガや事故の引き金となってしまうのです。
楽しいはずのレクの時間。このような悲しい出来事だけは、絶対に避けなければなりません。
必ず、レクの前には準備運動を行いましょう。
アスリートの方のように複雑な準備運動をする必要はありません。
大事なのは、少しでも良いので体を動かし、筋肉をほぐすことです。
案外多いのは、けがを気にするあまり準備運動に時間をかけてしまう事です。
レクが始まる前にはすでに高齢者の方たちが疲れてしまっている状態、これはいけません。
自己は注意すべきですが、それでレクを楽しめなければ本末転倒です。
ここでも、簡単かつ楽しく行える準備体操を心がけましょう。
お手玉タワー
それでは、いよいよ介護現場で大活躍なレクリエーションの紹介です。
最初は、お手玉タワーです。
これは、文字通りお手玉を用いて行うレクリエーションです。
- あらかじめスタッフが椅子の上にお手玉でタワーを作っておく
- タワーはできるだけ高く積み上げる(出来ればお手玉を30個以上使用する)
- 高齢者の方たちを2チームに分けイスのほうを向けて座ってもらう
- ボールを投げて、タワーを崩す
- 先にタワーのお手玉をすべて落としたチームが勝ち
というレクリエーションです。
難しいタワーの組み立ては準備運動の間にスタッフがやっておけば、すぐにレクが始められます。
ただボールを投げてタワーを倒すだけなのでルールはとても簡単です。
しかも、タワーが高いと崩れた時がとても派手な絵になります。
これだけでも、高齢者の方たちはとても喜んでくれます。
やはり、見た目が派手なほうがレクリエーションも人気が高い傾向にあるようです。
しかも、タワーに向かって投げるだけなので、身体能力に多少差があってもこのレクでは一切関係ありません。
物を投げることさえできれば誰であっても楽しめるレクリエーションに仕上がっています。
これ、なんて料理?
続いては、料理を当ててもらうレクリエーションです。
- ホワイトボードを用意
- ホワイトボードに料理の材料を一つずつ書いていく
- 途中、ヒントも織り交ぜていく(カレーなら『茶色い液体』『子供が大好き』等)
- レクの最後の一品はその日のお昼ご飯などにしておくと締まりもいいです
こちらも、認知症の方であっても気軽に参加できるレクリエーションになっています。
認知症の方は、新しいことを覚えるのは苦手でも、昔からの出来事はしっかりと記憶しています。
そのため、若いときから食べていた料理や、実際に家族に作っていた料理などはしっかりとその名前も覚えている場合が多々あります。
実際、私も施設にて手作り料理を作る日は、利用者の方たちにいつもアドバイスをいただいています。
このクイズのいいところは、誰でも参加できて楽しめること以外にも、過去の記憶を刺激できるところにあります。
昔この料理を作ったな~
息子はこれが好きで毎日のように作らされた
等、クイズが進むにつれて思い出話が次々に参加者の方の口からあふれ出てきます。
こういった思い出を記憶から探る行為は、回想法と言い認知症ケアの現場で実際に用いられている技法の一つです。
それをレクリエーションで楽しんでもらいながら行えるのです。
楽しく、しかも認知症の症状の緩和にもつながるこのレク、是非実際に試してみてくださいね。
俳句
俳句も高齢者の方たちに対するレクとしてはオススメです。
勿論、季語などがあれば素晴らしいのでしょうが、ここではそういったことを気にする必要はありません。
昔から俳句に慣れ親しんでいる方は、自然と季語を入れた俳句を披露してくれますし、そうでない方は自分なりの素直な気持ちを句にして書いてくれます。
短歌でもいいのでは?
と思うかもしれませんが、私のこれまでの経験では31文字で形成される短歌は認知症の方や慣れていない方にとっては少し長すぎるし難しく感じてしまうようです。
苦痛に感じてしまう人が一人でもいたら、それはもはやレクではありません。
みんなが楽しめてこそ、初めてレクリエーションといえるのです。
また、こういった特技を披露していると、時折素晴らしい句を披露してくれる方もいます。
そういった方がいる際には、是非俳句のコンクールなどへの応募も考慮してもらえたらなと思います。
介護施設に入居している方は特になのですが、そこではなかなか自分の趣味を見つけることができません。
そういった中で、コンクールという目標が見つかった直後から熱心に句を作りはじめ、今では趣味として毎日俳句を作っている方もいます。
趣味を見つけることは、そのまま人生をより楽しいものへと変えていく効果があります。
身体介護だけでなく、元気な高齢者の方たちにより良い毎日を提供することも立派な介護士の仕事です。
高齢者の方たちの毎日をより素晴らしいものにする新しい趣味を一緒に探していきましょう!
うちわテニス
テニス、今世間でも流行っていますよね。
楽しそうにテニスの試合を見ている高齢者の方を見て、
折角だから施設でもしてみたいな
と思ったのがこのレクリエーションを考えたきっかけです。
やり方は
- あらかじめスタッフが、バスケットボール程度の大きさに風船を膨らませておく
- 大きめのテーブルをはさんで参加者の方たちに座ってもらう
- 1対1、あるいは2対2がオススメ。
- ネットは施設にある本などで十分なので用意する
- 簡単なルール説明をしたのちに試合開始!
です。
あえて細かいルールは設定しないのがコツです。
あまり難しいルール・複雑な決まりを設定してしまうと、素直にレクリエーションを楽しむことができなくなってしまうからです。
また、簡単なルールならばこそ、認知症の方や初めて参加の方でもスムーズにレクを行えるのです。
自分側のコートで風船が床に落ちたら失点
位のアバウトなルール設定でこのレクは十分です。
大事なのは勝ち負けでなく、この時間を楽しんでもらうことだというのを決して忘れないように。
あまり長いと疲れてしまいますので、参加者の方のレベルに合わせて3点、あるいは5点先取で行うのがいいでしょう。
落としたら負け!バランスボール
こちらも身体能力、認知機能にほとんど影響されることのないレクリエーションです。
準備するものは
- 数種類の玉
- 数種類の球を乗せる道具(うちわ・卓球のラケット・扇子など)
だけです。
施設にあるものを使っていただければ、どこの介護現場でも活躍してくれるはずです。
やり方は
- 高齢者の方にラケットを配る
- ラケットを左右どちらかの手で持ってもらう。このとき平たい面を上向きに。
- 上に球を乗せてもらう(片麻痺の方などはスタッフが補助)
- 最後まで球を落とさない人の勝ち
これだけです。
とても簡単なレクですので、一見するとあまり楽しくなさそうかもしれません。
ところが、これが思った以上に盛り上がるんです。
というのもこのレク、実は結構難しいんです。
例えば、扇子にピン球を乗せてずっと維持することを考えてみてください。
うちわの上に軽い風船を乗せて、落とさず頑張る様子を想像してみてください。
・・・なかなか難しいとは思いませんか?
簡単だけと難しいレクというのは、誰でも気軽に参加でき、しかもみんなが楽しむことができるのです。
まさに、介護レクリエーションにうってつけといえるのではないでしょうか?
職員が混ざって勝負しても、バランス感覚がなければ簡単に負けてしまうことも・・・
是非、高齢者の方達と一緒にレクリエーションを楽しんでもらえたらなと思います。
ちなみにこのレク、
- 腕の筋力
- 集中力
- バランス感覚
といった能力を楽しみながら鍛えられるので、高齢者の方のリハビリにも最適です。
爆弾風船ゲーム
爆弾、というと恐ろしいイメージを持つかもしれませんが、いたって単純、かつみんなでわいわい楽しめる介護施設におすすめのレクとなっています。
用意するものは、
- フラフープ(無ければテープなどで代用可能)
- 風船
- ボール
の3つです。
ルールはいたってシンプル、ボールを投げてフラフープの中に置いてある風船を外に押しだすだけのゲームです。
やり方は、
- スタッフがフラフープ(もしくはテープ)の中に風船10個程を用意
- 高齢者の方に、フラフープから適度な距離に用意したイスに座ってもらう
- 風船めがけてボールを投げる!!
- いくつ出たか、その個数を競う
というものです。
風船にあらかじめ点数を書いておいてもいいですし、チーム対抗戦にして風船側から出た数の多いチームが勝者、というルールにしても大変盛り上がります。
風船は大きければ大きいほど、ボールが当たった時のはじけ具合も目立ちますし、高齢者の方たちもボールがあてやすくなります。
ちなみに、用意するボールの例としては
- お手玉
- 卓球の玉(ピン球)
のような軽いものがオススメです。
あまり重すぎると張り切って投げた際にけがのもととなりますし、何より風船が割れてしまいます。
軽いボールだからこそ、身体機能の差に関係なく参加者全員が楽しめるのです。
何度も言うようですが、介護現場でのレクリエーションは、とにかく参加してくれた方全員が楽しめるように工夫していかなければならないのです。
さいころボーリング
最後は、さいころを用いた少し変わったボーリングです。
使うのは
- ボーリングのピン
- ボール
- さいころ
です。
出来れば、ボールは大きめのものと小さめのもの、2種類を用意してください。
というのも、このボーリングはストライクを取るのが目的ではないからです。
このレクのルールは
- 高齢者の方たちを2チームに分ける
- 各チーム、投げる順番の方にサイコロ2個を振ってもらう⚀
- 出た目の合計だけピンを狙って倒してもらう
- 目の数と同じだけピンを倒した人の多いチームの勝利
です。
つまり、身体機能が高く、ボールを強く投げれる人が必ずしも有利とは限らないわけです。
このレクも、言ってしまえばほとんど運が作用するものです。
だからこそ認知症の方でも、また身体機能に差があったとしても関係なく参加者全員が真剣に楽しむことが可能なのです。
ちなみに、ルール的に見てもピンは12本にするのがおすすめです。
サイコロの目の合計が12の可能性もあるわけですから、通常の10本でのボーリングでは少なすぎるのです。
また、さいころはできるだけ大きいものを用意しましょう。
投げる人はもちろん、応援しているチームの人にも何本倒せばいいのかをしっかりと把握してもらうためです。
更に、ボールは大小二つそろえましょう。
用意してあるのが大きいボール一つだけですと、あと一本倒したいというときになかなか細かいコントロールがききません。
参加している高齢者の方たちが気持ちよくレクリエーションを満喫できるよう、私たち介護士はルールの隅にまで気を配る必要があるのです。
終わりに
いかがだったでしょうか?
今回は認知症高齢者でもできる介護レクリエーション7種を紹介させてもらいました。
本当は、認知症の人でもできる!!という言い方はあまり好きではありません。
何故ならこの言い方は、考え方によっては認知症の方が他の方よりもできないことが多いように見えてしまうからです。
ですがあえてこのようなタイトルにしたのは、認知症の方であっても、あるいは身体機能が低下した方であっても関係なく楽しめるレクは工夫次第でいくらでも提供できるんだというのを見てほしかったからです。
私たち介護士、デイサービスなどで働く方は特に毎日のように高齢者の方たちにレクリエーションを提供しなければなりません。
そうなってくると、だんだんレクを提供すること自体が作業的になってしまい、毎日同じ様なものになってしまいがちです。
ですが、レクリエーションを楽しみにデイサービス・デイケアなどに通っている方も大勢います。
そういった方の希望にこたえるためにも、出来る限り新しく、しかも楽しんでもらえるレクを提供していきたいですよね。
今回紹介した介護レクリエーションは
- 認知機能の差は関係ない
- 身体機能が高いことは有利に働かない
- 介護士は準備が簡単
- 一週間はこの記事一つでレクを提供できる
といってメリットがあります。
高齢者の方はもちろんですが、私としては毎日頑張っている介護士の方にも、せめてたまにはレクのために日夜悩ませている頭を休ませてもらいたいのです。
最後になりましたが、介護現場でのレクリエーションにおいて最も大事なことは、やはり参加者全員が等しく楽しめるレクを提供していくことだと思います。
認知症も、麻痺も、車いす生活の方も等しくみんなです!!
勿論、そこには大きな壁がたくさんあります。
ですが、そこであきらめてしまってはプロの介護士失格です。
介護の専門職として、今後もこのような介護レクリエーションをたくさん提供していけたらなと思います。
関連記事で、当サイトでこれまで紹介したレクリエーションについてまとめた記事を紹介しています。
もっとレクリエーションを知っておきたい!!
という方は、是非見てください。
きっとあなたの助けになるレクネタがあるはずです!