頂くと戴く、それにいただく。3つのいただくの使い分けについて困惑した経験がある方も多いと思います。今回は頂くと戴くの意味の違いやその使い分け方、そして食事の際のいただきますの正しい表記などをお伝えします。

頂くか、戴くか・・・

いただくという言葉、たくさん使う機会があるのではないでしょうか?

  • 物をもらった時
  • 何かをしてもらった時
  • 相手への敬語

等、様々な場面で用いられることになるこの「いただく」という言葉。
とてもよく使う言葉なのですが、皆さんはこの言葉には二つの漢字が当てはまるのをご存知ですか?

頂く

戴く

です。
この二つの漢字、どのような場面で使うのか皆さんはご存知でしょうか?

今回は、この「頂く」と「戴く」それぞれの意味と使い分けについて説明していきたいと思います。

頂くについて

まずは、頂くについてです。
同じいただくでも意味は微妙に異なるのが、日本語の難しさであり楽しさといったところでしょうか。

意味

頂くを最も多く使うのは、やはり何か物をいただいたときですよね。
このような際に用いるのは、「頂く」の漢字であるという人が多いのではないでしょうか?

字も簡単ですし、小学生5~6年生で習う漢字なので子供でも書けるので馴染み深い文字と言えますね。

頂くを辞書で調べてみると

  • 人が与えるものを受け取って自分のものにする
  • 食べる・飲むの謙譲語

とありました。
このことから、

  1. 人から何かをいただいたとき
  2. 飲食について書くとき

等には「頂く」を用いるのが正解のようです。

例文

それでは、例文をいくつか紹介しておきます。

  • パーティーにてご馳走を頂く
  • 受賞の連絡を頂く
  • 励ましの言葉を頂く

このように、飲食や何かを受け取るときには頂くを用いてくださいね。

この例文から見てもわかるように、基本的に自分が人から何かいいことをしてもらう等プラスの出来事に対して用いるポジティブな要素が多い文字と言えそうですね♪

戴くについて

次は、戴くについてです。
実はこの文字について私の知人に尋ねたところいただくと読めない人もたくさんいました。

あまり見慣れないこちらの戴く、いったいどんな意味や使い方があるのでしょうか?

意味

戴くですが、なんとなく難しい漢字ですし手紙など改まった場面で用いている方も多いようです。
この「戴く」の意味ですが、いくつか調べてみたところ

  • ありがたく受け取る
  • 貰うの謙譲語
  • 頭の上にものを載せた状態

といった意味があるようです。
「戴」という漢字がもっとも正しい意味で使われているのは、

戴冠

です。

基本的には、戴くは頭の上に何かが覆いかぶさった状態を指す際に用いるようです。

また、それ以外にも貰うの謙譲語と言うだけあって、目上の誰かから物をもらう時にも戴くの漢字を使うのは正しいようです。

例文

  • 王位継承により、今日から頭に王冠を戴く
  • お土産を戴く
  • 優勝の景品と賞状を戴く

などは、頂くを用いても意味的にすんなりと通じるようです。

簡単にまとめると

  • 頭の上に何かが覆いかぶさった何かが覆いかぶさった状態
  • 目に見えるもの(例文でいうお土産や景品)を戴くとき

には頂くを使うケースが多いようです。
なんとなく頂くと戴くの違いが分かってきたでしょうか?

いや、これだけじゃ分からないよ

どっちも似たような意味なんじゃ・・・

という方もまだまだ多いと思います。
ここからは、二つの「いただく」の使い分けについてわかりやすく説明していきます。

頂くと戴くの使い分け

今までいくつかの同じ読みなのに違う漢字を説明してきました。
このような場合二つのうちの一つが、実は常用漢字ではない場合がほとんどなのです。

今回も実はそうなのです。
そして、常用漢字でないのは・・・

戴く

です。
実は戴くは、基本的には使われない漢字なのです。

新聞などでいただくと書く場合、必ず頂く、あるいはいただくとひらがなで表記されているので今度新聞を見る際には意識して探してみてください。

そのため、使い分けと言うよりも困った時には基本的に

頂く

を書いてもらえば正解です。
特にテストや公式文書などの場合は戴くの方を書いてしまうと間違えととらえられてしまうこともあるので注意が必要です。

ただし、常用漢字でない=使ってはいけない漢字というわけではありません。
先ほど書いたように、物をいただいた時に用いれば「戴く」で意味としては十分に通るのです。

もし使う際には、目上の人から物をいただいた時が一番当てはまるのではないでしょうか。

社長より、年間最優秀社員証を戴いた

等は、頂くよりも戴くと書いたほうが人によってはスマートに思えるかもしれません。

頂くでも戴くでもない時

いかがだったでしょうか?
今回は頂くと戴くの意味の違いと使い分け方について説明していきました。

基本的には頂くを書いておけば正解、と上で述べましたがなぜ基本的と私が書いたのか・・・
それは、頂くを使ってはいけない時もあるからです。

時折、文章の中で

いただく

と書いてあるのを目にしたことはないでしょうか。

どちらの漢字かわからなかったのかな?

と思った方はとてもしっかりと文字を見ている証拠ですね。
ですが、これにはちゃんとした理由があるのです。

いただくには、先ほど説明した意味以外にもひらがなで表記した時には

補助動詞

の意味合いも持っているのです。
ただし、これはひらがなで書いた「いただく」の時にのみ持っている役割です。

ですので、補助動詞としていただくを用いる場合、例えば

  • ご覧いただきます
  • お越しいただきありがとうございます
  • ここでお食事をしていただきます

といった形での使用をする場合には「いただく」を用いるのが唯一の正解なのです。

ここで一つ豆知識を。
実は、食事の最初に言うあいさつも

いただきます

だけが正解です。
漢字で

頂きます

戴きます

は丁寧に思えますが、食事のあいさつとしては厳密には違うようです。

というわけで最後にもう一度使い分けについてまとめます。

  • 飲食・物をもらうなどの行為は頂く
  • 目上の人などに物をもらった場合は戴くもOK
  • 補助動詞(自分や相手の動作をあらわしていない)の時にはいただく

を書いておけば間違いはありません!

・・・とは言え人間は忘れてしまうもの(-_-;)
もし使い分け方について困った時には、ひらがな表記のいただくを書いておけば間違いないようです。

色々説明してきましたが、どうか正しい使い方をしていただきたく思います(^^)

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