介護の記録をつけているとよく迷う言葉『ずつ』と『づつ』一体どちらが正しいのでしょうか。この記事では、しっかりとした理由を踏まえ説明し、その後あまり使わない『づ』を活用する単語についても詳しく解説していきます。

ずつとづつ、どっち?

介護士の方が必ずしなければならない仕事、それは『記録』です。
関わった方がどのように生活しているのかを記録に残し、情報を共有してこそより良いケアが生まれるわけです。

今回は、そんな記録を書く際に私たちを困らせるありがちな誤字の一つ『ずつ』と『づつ』問題に関するお役立ち情報をお届けしていきます。

少しずつ?少しづつ?

皆さんは、『少しずつ』と『少しづつ』のどちらが正しい言葉かご存知ですか?
介護士の方も、この言葉は記録作業中によく使うのではないでしょうか。

少しずつ(づつ)パンを口にした

杖を使いつつ、少しずつ(づつ)廊下を進んでいる

等、書く機会は多くある言葉のように思えます。
そのため、どちらが正しいかわからない場合、いつも

これ、どっちが正解だっけ?

と悩むことになります。
家に帰ってから調べよう!!と思うのですが、いざ家に帰った後にはそんなことすっかり頭から抜け落ちてしまっているものです。

ほとんどの方が正解を知らないので、別に間違っていてもわからないのですがなんとなくもやもやした気持ちは記録中ずっと残っていますよね。
そこで、どちらが正しい日本語なのかその正解を調べてきました!!

結果は・・・

どっちでもいい

です!Σ(・□・;)

いや、そんな適当な・・・と思うかもしれませんが、これは私が決めたことではないので、文句は決めた方に言ってください。
ちなみに、その決めた方とは『文化庁』です。

文化庁は、現代仮名遣いについてホームページにて詳細なことを書いてくれているのですが、その中の一文には少しずつ・少しづつ問題について触れたものもあります。

そこには、

 

『ずつ』と『づつ』はどちらを使っても誤りではない。が、『ずつ』を使うほうがより好ましい

 

とする説明が書かれていたのです。

 

これには、歴史的な問題が深くかかわってきています。
昭和21年までは、実は『ずつ』ではなく、『づつ』こそが正しい日本語だとされていたのです。

しかし、この昭和21年以降、『づつ』は歴史的仮名遣いとして扱われるようになり、現代仮名遣いとして『ずつ』が用いられるようになったのです。

その背景には、戦後日本を占拠していたアメリカの

日本語はちょっと難しすぎるから簡単にしてください

という意向があったとされています。

当時日本に在中していたアメリカ政府の職業の一つに『言語簡略化担当官』という職業があったそうです。
つまり、日本語を簡単にするためだけの専門職が用意されていたのです。

この職業には、当時のアメリカでもトップレベルの大学であったハーバード大学を卒業した方がついていたそうです。
つまり、超高学歴のエリートでもない限り日本語は理解できなかったということ・・・

当時のアメリカ人にとっては、複雑な表現や、各都道府県ごとの方言などが入り混じった日本語は難しすぎたのです。
戦争で主権を勝ち取った国の言葉がうまく理解できないとなれば、わかりやすくしようとするのは当然の流れだったのかもしれませんね(-_-;)

その後昭和61年までの40年間にわたり、『づつ』は間違った言葉遣いとして扱われることになってしまいました。

しかし、『づつ』を完全に間違った言葉遣いとみなしている現状では、高齢者の方が使う言葉や、日本に長く伝わっている歴史的価値のある文書などで用いられた表現に対して若い世代を中心にねじ曲がった認識が生まれてしまうのではないか、と考えられました。

そこで、昭和21年に更なる改正が行われ、以降は『ずつ』・『づつ』のどちらも正しい日本語として認められるようになったのです。

『づ』を使うケースの紹介

基本的にはずつを使っておけば正解というのはわかっていただけたかと思います。
しかし、そうなると疑問が一つ・・・

『づ』っていつ使うの?

ということです。
ここからは、『づ』を使うのはどういった言葉かを紹介していきます。

上で書いたように、生活の中では基本的に『ず』の方を活用します。
しかし、中には『づ』を使わないとおかしくなる場合もあります。

例えば、

  • 神無月(かんなづき)
  • 竹筒(たけづつ)
  • 荷造り(にづくり)
  • 新妻(にいづま)
  • 心尽くし(こころづくし)
  • 手作り(てづくり)
  • 小包み(こづつみ)

です。
これらの単語にはどれも共通点があります。

それは、二つの単語がくっついていることです。

  • 神無月=神無+月
  • 竹筒=竹+筒
  • 荷造り=荷+造り
  • 新妻=新+
  • 心尽くし=心+尽くし
  • 手作り=手+作り
  • 小包み=小+包み

どれも、ある単語+『つ』で始まる単語がくっついているのです。
このように、もとが『つ』で始まる単語が濁点読みになった場合は、『ず』ではなくて『づ』を用います。

そして、もう一つのケースが同じ音を連続して読む場合です。
こちらもいくつか辞書で調べてみたところ、

  • 鼓(つづみ)
  • ツヅラフジ(植物の仲間)
  • 続く(つづく)
  • 綴る(つづる)
  • ツヅミモ(藻の仲間)

等が見つかりました。
見てのとおり、どの単語もつづ(ツヅ)で始まるものばかりです。

この場合には、『ず』ではなく『づ』を用います。

結局どちらも正解です

いかがだったでしょうか?
今回は記録の時に間違いやすい『ずつ』と『づつ』に焦点を当てて説明していきました。

見ていただいた通り

ずつ

づつ

もどちらも使って問題はありません。
あくまで

ずつのほうが良いかな?

程度なので、これまで『づつ』を用いて書いていた方たちも特に気にはせず、これからは『ずつ』を使って書こうかな、程度に思ってもらえたらなと思います。

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