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高齢者と点滴

皆さんは、点滴を受けたことがあるでしょうか?
風邪の時に、医者にかかった際に受けてことがある方も多いのではないでしょうか?

若い世代の人たちにとっての点滴は、元気になるための一種の栄養剤のような役割を果たしてくれています。

ですが、高齢者、特に終末期(ターミナル)の方たちにとって、点滴の役割は少し違ってきます。

今回は、高齢者の点滴の意義について考えていきます。

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点滴の効果

初めに述べたように、若い人たちに用いられる点滴は風邪や嘔吐、下痢などで消耗した体力や水分を補うための栄養剤の効果を持っています。

ですが、高齢者の方たちに用いられる点滴は、栄養という観点から必ずしも用いられているわけではありません。

脱水の場合

例えば、高齢者に多い症状の一つである脱水。
この場合、点滴は体が失ってしまった水分や電解質を補給するためのものです。

点滴は、静脈に直接点滴液を流し込みますので、口から水分を取り込み、胃にわたって、吸収されるよりも短い時間で体調を整えることができます。

以前の記事でも書きましたが、高齢者は自身が水分を失ったことに気づかないことも多く、汗もかきにくいので自分が脱水状態になっていること気づかない場合があります。

⇒ 高齢者の脱水に関する記事はこちら!

また、のどが渇いたと感じることも少ないため、水分をなかなかとろうともしません。

そうして、症状が重篤になってから家族が気付き、ようやく病院に駆け込むといったケースも少なくありません。

そういった場合には迅速な水分補給が求められますので、点滴がきわめて有効です。

一時的に点滴を行う

高齢者の方でもう一つ点滴を用いるのは、この【一時的】に点滴が必要なケースです。

というのも、高齢者の方は体力が低下しているため風邪や軽い肺炎であってもかなり重症化してしまい、体力を奪われてしまいます。

すると、病気が治っても体力は落ちているため、食事を食べる元気もなくなってしまう方が大勢います。

なかなか食事をとることができないが、このまま食べなければますます体が弱っていく一方…
こういった場合に、体力の回復目的で点滴を用いることもあります。

この場合の点滴は、若い人たちの風邪をひいたときと同じように【栄養補給】が第一の目的として挙げられます。

実際、施設などでも一時的に食事が食べられなくなった利用者の方に対し点滴を用いることで数週間後には再び元気に食事が食べれるようになる方も大勢います。

点滴が高齢者の方の体力を回復させてくれるのです。

終末期の点滴

そして、終末期の方に対する点滴についてです。

ここでの点滴は、【現状維持】のために用いられている場合がほとんどです。

いわば、人工呼吸器などと同様に生命維持のための役割を果たしています。

点滴を行うことで、人間が生きていくための必要最低限の栄養と水分の確保は可能です。
そのため、理論的には点滴を投与し続けていれば人間は何年も生きていくことが可能です。

実際、意識不明の高齢者の方が点滴だけで数年間生き続け、ついには意識を取り戻したという事例も報告されています。

しかし、そんなことは極めて稀です。

一般的には、終末期に入り、口から食べ物を取ることもかなわなくなった方に対して最低限の栄養を補給してもらうために点滴が用いられているのが現状です。

果たして点滴は必要か

現在、終末期医療や介護の現場で議論になることが多いのテーマの一つが

「本当に点滴は必要か」

ということです。

点滴を用いれば、当然水分や栄養が入るためその分だけ長生きすることができます。

ですが、長生きすることが必ずしも意味のあることでしょうか?

こうした長生きを目的とした治療のことを『延命治療』というのですが、果たしてこれは誰に望まれている治療なのでしょうか?

延命は読んで字のごとく【命を延ばす】治療です。
しかし、それは同時に、終末期で病気と闘う方の苦しみを長くしてしまう場合もあります。

最近では医療の現場などでも終末期の方に対する過度の点滴を控える働きが出てきました。

その代わりに、患者にいかに最後のひと時を快適に過ごしてもらうかに焦点を置いたホスピスケアの考え方が浸透してくるようになってきました。

ホスピスケアとは、従来の病気の治療に焦点を当てる考え方ではなく、病気がある中でいかに苦しまず、残された大切な時間を家族や自分のために有意義に使えるかに重きを置いた考え方です。

例えば、末期のがん患者に対して、従来なら新薬を用いるなどして何とかがんを治すことに医師も患者も意識を向けていました。

ですが、ホスピスケアの場合は、がんの治療ではなく、がんの痛み・苦しみをいかに感じないか、を目標にした薬の投与などを行います。

これは、終末期の方にも当てはまります。

従来の終末期のケアは、とにかく一日でも長く命を長らえてもらうことに重きを置いていました。

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日本では、

「まだ生きられるなら何とかしてください!」

「一日でも長く生きていてほしいんです…」

といった家族の想いが優先的に取り上げられることが多く、患者の意思や快適さについては長らく触れられてきませんでした。

その名残からか、点滴に関しても、

「点滴をすれば長生きできる」

「できることがあるなら何かしてあげたい」

という家族の想いが重視されています。

しかし、先にも述べたように、点滴はあくまで命を長らえるための延命策としては有効ですがそれにより症状が劇的に回復することはまず期待できません。

それどころか、終末期の方、水分の吸収も難しくなってしまった方は点滴を行うことで、体が吸収できなかった点滴がむくみとなって体中パンパンに膨れてしまうこともあります。

また、点滴を入れるために、細くなった血管を傷つけ、体中に点滴の針の刺し傷や内出血ができてしまうことも…

私は、点滴自体が悪とは決して思っていません。

何とか長生きしてほしいという家族の方の想いは素晴らしいと思いますし、それだけ家族の方を大事にしている証拠でもあります。

ですが、もし大事な方が終末期の状態になり、点滴をするかどうかの選択を迫られることになったなら、一度冷静になって考えてほしいのです。

点滴で命を長引かせるか。
それとも、極僅かしか命は残されていないけれど、その時間を苦しみを減らし、家族や友人と過ごす最後の大切な時間に変えるか。

延命か、緩和か…
命にかかわるとても難しい問題です。

でも、だからこそ私たちは常に考えていないといけないのかもしれません。

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