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私は、介護士という仕事柄、また職場に認知症の方が多いこともあり、たくさんの認知症の方と接する機会を得ることができました。

その中で、ある一つの疑問を感じたことがあります。

それは、

認知症は、本当にただの病気なのだろうか?ということなんです。

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大事なことは忘れない

こう思うようになったのは、認知症という病気の不思議な一面を目撃したからです。

認知症の方は、一般的に段々と記憶力が低下し、様々な思い出や知識を忘れていくと思われています。
それはおおむね正しいのですが、全部がそうというわけではありません。

彼らは忘れていくことが多々ある中でも、本当に大切なことはしっかりとその胸に焼き付けて覚えています。

言葉を発することもできなくなった方が、久しぶりに会いに来てくれた家族を見て、涙を流して喜ぶことなどがその証拠です。

そんな風に、大事なことをしっかりと覚えている認知症の方たちを、私は素直に『凄いな』と思います。

本当に認知症が脳の萎縮を引き起こすだけの病気ならば、この大事な思い出や、大切な人たちのことも全部忘れてしまっていいはずだとは思いませんか?

このことから、私は認知症には病気以外の何か大事な側面があるのではないかと思うようになりました。

ここからは、何も裏付けのない、ただ私が感じた認知症という個性の素晴らしい面を上げていこうと思いますので、もしよろしければご覧ください。

心の機微に敏感

認知症の方たちは、段々と言葉を失っていきます。
ですが、その少なくなった言葉で、時々驚くようなことを語ってくれます。

私が体験したのは、落ち込んでいる職員に対して、普段全く言葉を発しない方が

「あんた、元気だしねーや」

といい、普段から大事に持っている持ち物を手渡したことです。

その職員は、別に口に出したわけではなかったのですが、辛いことがあり落ち込んでいました。
それを敏感に察知したこの方が、上の一言を述べ励ましたのです。

言葉を失い、ほとんど会話すらしなくなくなった方から放たれた一言…
もしかしたら、彼らは誰よりも心の機微に敏感なのかもしれません。

そして、私たちには見えない、何か本当の心理のようなものが見えているのかもしれません。

こちらの失敗や失礼をなかったことにしてくれる

先程もあげたように、認知症の方は大事なことはしっかりと覚えています。
にもかかわらず、私たち介護職員の失礼や失敗は全く覚えていません。

これは、忘れているのではなくて、もしかしたら

「その程度のこと」

と考え、なかったことにしてくれているのではと思うようになりました。

覚えていない=彼らにとって重要なことではないということです。

私たちが

「やってしまった!」と落ち込んでしまうような出来事も、彼らは全てをなかったことにしてくれています。

そう考えると、認知症の方たちは全てを理解したうえで、「そんなことはいいんだよ」と笑って許してくれているのかもしれません。

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自分の想いを相手に素直に伝えられる

私たちは本音と建て前をうまく使い分けて毎日を過ごしています。

それは、とても大事な事です。
人間関係を円滑に保つためにも、本音ばかりを話しておくわけにはいかない場面もあります。

ですが、私たちは必要ないところまで本音を隠しているのではないでしょうか?

「相手に嫌われたくない」

「ここでこんなこと言ったら変な空気になるかも」

と考え、思ったことを口にできない人が増えているように感じますし、私自身そういう思いを何度もしてそんな自分が嫌になることもあります。

ですが、認知症の方は違います。
彼らは、自分の想いや感情をとても素直に表現してくれます。

それこそ、こちらが驚くほど全力で自分が抱えているものをすべて吐き出してくれます。

時には、全力で泣き、全力で笑い、腹が立てば烈火のごとく怒ります。
このように、感情全てを素直に出す行為こそが、色々なしがらみから解放された、人間のあるべき姿なのかもしれません。

信じられないほどのきれいな笑顔

認知症の方の笑顔を見たことがあるでしょうか?

彼らの笑顔は、本当にきれいです。
美しいと言ってもいいかもしれません。

別に、顔立ちが整っているとかそういう意味ではありません。

ただただ、きれいなんです。

彼らの笑顔には、裏に隠された感情というものがありません。

作り笑い、愛想笑いというものとはかけ離れた、純粋な『喜』のみの感情が詰まっているのです。

嬉しい!

楽しい!

ある意味では、最も無垢だった赤ちゃんの笑顔にも通じるのかもしれません。
こういった感情のみがあふれた認知症の方の笑顔こそが、どんな宝石や美人な方もかなわない、本当に美しいものと言えるのではないでしょうか。

病気ではなく…

私は、『認知症は病気ではなく個性』だと最近強く思うようになりました。

こんなにも素晴らしい面を持っている方たちが、【病気】の一言、ひとくくりにされるのが我慢ならないのです。

認知症という病気がメディアに取り上げられ、世間の注目を集めるようになって久しいです。
それ自体はとてもうれしいのですが、同時に多くの誤解や偏見も生まれてきたように感じます。

どうか、今度認知症の方と会う時には、これまでの知識や見方をすべて忘れてください。
そして、頭をクリアにしたまま、彼らと接してみてください。

必ず、これまでとは違った一面が見えてくるはずです。

ひょっとしたら認知症は、人間が感情や世間のしがらみから解き放たれて、次のステップに進むための助走期間なのかもしれません…

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